オオカミくんと秘密のキス
ゆっくりと夜道を歩く政宗さんは、話を続ける。
「彼女が今年の夏に中学の同級生達とBBQに誘われたらしいんだけど、その中に男も結構いてさ…俺の立場からすれば参加して欲しくなくて、それで喧嘩になっちゃったんだよね」
政宗さんの気持ちはすごくよくわかる。私は話を聞きながら、コクりと頷く。
「俺の彼女って、結構男友達が多いタイプでさ…平気で俺の前で男と電話するし、会って話したりする子でさ。ずっとそういうところが面白くなかったんだ…」
地面に転がる小石を足で蹴る政宗さん。
私が政宗さんの立場だったら、同じようなこと思っちゃうな。そんなことされたら普通にしてるのは無理かも…
「それが原因で大喧嘩。一週間くらい会わなかったし、電話もしなかったよ…」
「…どうやって仲直りしたんですか?」
話を聞く限りだと、政宗さんと彼女さんは価値観が違うから喧嘩になったんだよね…
そんな2人が、もう一度向き合えたのは何故だろう…
「ま、簡単にいうとお互い“折れた”ってことかな」
「折れた…?」
「そ。お互いに謝って全部なかったことにしたんだよ。俺は嫉妬して口うるさいこと言ったことを謝って、彼女は男友達との付き合いは控えることにしたんだ」
お互いに折れたってそういうことか。
じゃあ、ある意味妥協したってことだよね…
「こんな簡単なことなのに、なんで一週間も連絡しないで怒ってたんだろ俺…本当にバカみてえ」
そういえば…寧々ちゃんちでテスト勉強した時に、政宗さん元気がなかったよね。それに「今日はいい事がなかった」みたいなこと言ってたような…?
もしかしたら、彼女と喧嘩したってあの日だったのかもしれないな。
「意地張ってたって平行線のままだよな。付き合っていくには、時には妥協しなきゃならないんだって気づいたよ」
その言葉は今の私に言っているようだ。
凌哉くんのことが好きだったら、妃華ちゃんのことは受け止めるべきってことだよね。だけど…私には妥協する勇気がまだないよ…
「政宗さん…」
「んー?」
一歩先を歩く政宗さんに声をかける。
「…彼女と考え方が違うのに、どうして妥協することができたんですか?お互いの価値観が反対なのに、このまま付き合っていくことに不安はないですか?」
まさに今私が聞きたいことを、政宗さんに直球に聞いてみた。
このまま自分の中だけで考えていても、答えは一生でない。だから第三者の意見を聞いてみたい。
「うーん、そうだねえ…価値観とかそういうのも大事っちゃ大事だけど………それより先に、俺は彼女のことが好きだから…好きなら相手のことを受け止めなきゃって思ったんだよ」
「…」
政宗さんのその答えは、私の胸に強く響いた。
「他人同士が付き合うと色々あるけど、まず大切なのはやっぱり相手を好きだっていう気持ちなんじゃないかな。好きだから一緒にいたいなら、我慢もしなきゃ!みたいなさ」
「そう…ですよね」
ずっとモヤモヤしていた答えが出た気がした…
難しく考え過ぎてて、凌哉くんのことが好きって気持ちをずっと置いてきぼりにしてたかも…
妃華ちゃんとかより先に、私も凌哉くんのことが好き。
大好き…
それが一番大切なんだね。
もう一度…
気持ちを伝えたい……
もう遅いけど…伝えるだけ伝えてもいいよね…
「そういえば、沙世ちゃんは彼氏とかいるの?」
「え!い、いないですっ」
突然の政宗さんからの質問に、首を激しく横に振って答える私。
「いそうなのにね♪ってゆーか、寧々って彼氏いるの?」
「どうでしょうね…そういう話はしないので、わからないですね。聞いたことないですけど」
「ふーん…」
少し心配そうな顔をする政宗さん。
「やっぱり気になりますか?」
「彼女が今年の夏に中学の同級生達とBBQに誘われたらしいんだけど、その中に男も結構いてさ…俺の立場からすれば参加して欲しくなくて、それで喧嘩になっちゃったんだよね」
政宗さんの気持ちはすごくよくわかる。私は話を聞きながら、コクりと頷く。
「俺の彼女って、結構男友達が多いタイプでさ…平気で俺の前で男と電話するし、会って話したりする子でさ。ずっとそういうところが面白くなかったんだ…」
地面に転がる小石を足で蹴る政宗さん。
私が政宗さんの立場だったら、同じようなこと思っちゃうな。そんなことされたら普通にしてるのは無理かも…
「それが原因で大喧嘩。一週間くらい会わなかったし、電話もしなかったよ…」
「…どうやって仲直りしたんですか?」
話を聞く限りだと、政宗さんと彼女さんは価値観が違うから喧嘩になったんだよね…
そんな2人が、もう一度向き合えたのは何故だろう…
「ま、簡単にいうとお互い“折れた”ってことかな」
「折れた…?」
「そ。お互いに謝って全部なかったことにしたんだよ。俺は嫉妬して口うるさいこと言ったことを謝って、彼女は男友達との付き合いは控えることにしたんだ」
お互いに折れたってそういうことか。
じゃあ、ある意味妥協したってことだよね…
「こんな簡単なことなのに、なんで一週間も連絡しないで怒ってたんだろ俺…本当にバカみてえ」
そういえば…寧々ちゃんちでテスト勉強した時に、政宗さん元気がなかったよね。それに「今日はいい事がなかった」みたいなこと言ってたような…?
もしかしたら、彼女と喧嘩したってあの日だったのかもしれないな。
「意地張ってたって平行線のままだよな。付き合っていくには、時には妥協しなきゃならないんだって気づいたよ」
その言葉は今の私に言っているようだ。
凌哉くんのことが好きだったら、妃華ちゃんのことは受け止めるべきってことだよね。だけど…私には妥協する勇気がまだないよ…
「政宗さん…」
「んー?」
一歩先を歩く政宗さんに声をかける。
「…彼女と考え方が違うのに、どうして妥協することができたんですか?お互いの価値観が反対なのに、このまま付き合っていくことに不安はないですか?」
まさに今私が聞きたいことを、政宗さんに直球に聞いてみた。
このまま自分の中だけで考えていても、答えは一生でない。だから第三者の意見を聞いてみたい。
「うーん、そうだねえ…価値観とかそういうのも大事っちゃ大事だけど………それより先に、俺は彼女のことが好きだから…好きなら相手のことを受け止めなきゃって思ったんだよ」
「…」
政宗さんのその答えは、私の胸に強く響いた。
「他人同士が付き合うと色々あるけど、まず大切なのはやっぱり相手を好きだっていう気持ちなんじゃないかな。好きだから一緒にいたいなら、我慢もしなきゃ!みたいなさ」
「そう…ですよね」
ずっとモヤモヤしていた答えが出た気がした…
難しく考え過ぎてて、凌哉くんのことが好きって気持ちをずっと置いてきぼりにしてたかも…
妃華ちゃんとかより先に、私も凌哉くんのことが好き。
大好き…
それが一番大切なんだね。
もう一度…
気持ちを伝えたい……
もう遅いけど…伝えるだけ伝えてもいいよね…
「そういえば、沙世ちゃんは彼氏とかいるの?」
「え!い、いないですっ」
突然の政宗さんからの質問に、首を激しく横に振って答える私。
「いそうなのにね♪ってゆーか、寧々って彼氏いるの?」
「どうでしょうね…そういう話はしないので、わからないですね。聞いたことないですけど」
「ふーん…」
少し心配そうな顔をする政宗さん。
「やっぱり気になりますか?」