オオカミくんと秘密のキス
凌哉くんはかなり怖い顔をして、私にどんどん近づいてきた。
「ちょ、待って…違うのっ」
「…ふざけんなよお前」
「きゃ!」
凌哉くんは私の手首を掴むとアパートの建物へ入って行き、世帯数設置されているポストがある場所の外から見えない位置に私を無理矢理連れて行った。
そして私を壁に追い詰めると、凌哉くんは私に強引にキスをしてきた。
「…ンっ…………待っ…凌哉くんっ」
久しぶりの凌哉くんのキスは、全然優しくなかった。嬉しいはずなのに、何故か悲しくなる…
こんなキス…凌哉くんのキスじゃない。
「やめて…お願いっ…」
「…」
凌哉くんのキスが止まる。うっすらと目を開けると、凌哉くんが私を見つめている。気がつくと、私の目から涙がこぼれていた…
「ごめん…」
申し訳なさそうにそう言うと、凌哉くんは私からそっと離れた。そして私に背を向けて、アパートから出ていこうとする。
嫌だ…行かないで…っ!
私はとっさに後ろから凌哉くんの背中に抱きつくと、凌哉くんの足が止まる。
「行かないでっ…ちゃんと話したいの…」
ここで別れたら、また気まずくなるのが目に見えてわかる。もうそんなの嫌だ…
「…話すって……話してどうするんだよ。お前にはもうさっきのやつがいるのに…」
「……………あれ、寧々ちゃんのお兄ちゃんだよ」
「え…」
涙を拭きながらボソッとそう言うと、凌哉くんは目を点にしていた。私は口をとがされながら凌哉くんから目を逸らす。
「お前…前川(まえかわ)の兄貴と付き合ってのか!?」
「ちっ、違ーうっっ!!!!!」
凌哉くんのこの言葉には思わず突っ込まずにはいられなかった私は、かなりの大声を出してしまった。
アパートの前を通りすがる人がこっちをチラチラと見ていて、マズイと思った私は口を押さえた。
「…移動するぞ。ここじゃ落ち着いて話せねえだろ」
「う、うん…」
私と凌哉くんはアパートから出て、目的の場所があるわけではなくとりあえず歩き出した。
私の一歩先を歩く凌哉くんの背中を見ていると、もう妃華ちゃんのことや価値観のことなんてどうでも良くなってくる。
好きな人とこうやって歩いてるだけで幸せ…それが一番大切だって、政宗さんが教えてくれたんだから…
ピタ…
歩いてた凌哉くんが突然足を止めて、こっちに顔を向けた。私も立ち止まると、何故かピンと背筋を伸ばしてしまう。
「…で?お前とさっきのあいつはどういう関係なんだ?」
真面目な顔をして私に聞いてくる凌哉くん。私はその質問に正直に答えた。
「どんな関係って…私からしたら寧々ちゃんのお兄さんとしか思ってないよ?」
「…ふーん…なんで前川の兄貴とお前が知り合いなの?そして何故さっき一緒にいた?」
疑いの目を私に向ける凌哉くん。
「この前みんなで寧々ちゃんちでテスト勉強してた時に、お兄さんが私達に勉強教えてくれたの。それで顔見知りなだけだよ。一緒にいたのはさっきコンビニで偶然会っただけ…夜道が危ないからって、気を使って送ってくれたんだよ」
「…こんな夜に外ウロウロしてるから、男に狙われんだよ。なんかされたらどーすんだ!」
「なんかって…政宗さんに彼女いるよ?これからまたデートだって言ってたし」
私を送ってくれたのも、彼女がバイト終わるまでの時間潰しだよ。
「ふーーーーん…」
「本当だからねっ!信じてよね!!」
凌哉くんは何も言わずに前を向くと、スタスタと先に歩いて行ってしまう。
「ま、待ってよ」
私は小走りで凌哉くんを追いかけ、また一歩後ろを歩いた。そして2人でやって来たのは近所の公園。私達はベンチに座り、人一人分くらいの間隔を空けた。
「ちょ、待って…違うのっ」
「…ふざけんなよお前」
「きゃ!」
凌哉くんは私の手首を掴むとアパートの建物へ入って行き、世帯数設置されているポストがある場所の外から見えない位置に私を無理矢理連れて行った。
そして私を壁に追い詰めると、凌哉くんは私に強引にキスをしてきた。
「…ンっ…………待っ…凌哉くんっ」
久しぶりの凌哉くんのキスは、全然優しくなかった。嬉しいはずなのに、何故か悲しくなる…
こんなキス…凌哉くんのキスじゃない。
「やめて…お願いっ…」
「…」
凌哉くんのキスが止まる。うっすらと目を開けると、凌哉くんが私を見つめている。気がつくと、私の目から涙がこぼれていた…
「ごめん…」
申し訳なさそうにそう言うと、凌哉くんは私からそっと離れた。そして私に背を向けて、アパートから出ていこうとする。
嫌だ…行かないで…っ!
私はとっさに後ろから凌哉くんの背中に抱きつくと、凌哉くんの足が止まる。
「行かないでっ…ちゃんと話したいの…」
ここで別れたら、また気まずくなるのが目に見えてわかる。もうそんなの嫌だ…
「…話すって……話してどうするんだよ。お前にはもうさっきのやつがいるのに…」
「……………あれ、寧々ちゃんのお兄ちゃんだよ」
「え…」
涙を拭きながらボソッとそう言うと、凌哉くんは目を点にしていた。私は口をとがされながら凌哉くんから目を逸らす。
「お前…前川(まえかわ)の兄貴と付き合ってのか!?」
「ちっ、違ーうっっ!!!!!」
凌哉くんのこの言葉には思わず突っ込まずにはいられなかった私は、かなりの大声を出してしまった。
アパートの前を通りすがる人がこっちをチラチラと見ていて、マズイと思った私は口を押さえた。
「…移動するぞ。ここじゃ落ち着いて話せねえだろ」
「う、うん…」
私と凌哉くんはアパートから出て、目的の場所があるわけではなくとりあえず歩き出した。
私の一歩先を歩く凌哉くんの背中を見ていると、もう妃華ちゃんのことや価値観のことなんてどうでも良くなってくる。
好きな人とこうやって歩いてるだけで幸せ…それが一番大切だって、政宗さんが教えてくれたんだから…
ピタ…
歩いてた凌哉くんが突然足を止めて、こっちに顔を向けた。私も立ち止まると、何故かピンと背筋を伸ばしてしまう。
「…で?お前とさっきのあいつはどういう関係なんだ?」
真面目な顔をして私に聞いてくる凌哉くん。私はその質問に正直に答えた。
「どんな関係って…私からしたら寧々ちゃんのお兄さんとしか思ってないよ?」
「…ふーん…なんで前川の兄貴とお前が知り合いなの?そして何故さっき一緒にいた?」
疑いの目を私に向ける凌哉くん。
「この前みんなで寧々ちゃんちでテスト勉強してた時に、お兄さんが私達に勉強教えてくれたの。それで顔見知りなだけだよ。一緒にいたのはさっきコンビニで偶然会っただけ…夜道が危ないからって、気を使って送ってくれたんだよ」
「…こんな夜に外ウロウロしてるから、男に狙われんだよ。なんかされたらどーすんだ!」
「なんかって…政宗さんに彼女いるよ?これからまたデートだって言ってたし」
私を送ってくれたのも、彼女がバイト終わるまでの時間潰しだよ。
「ふーーーーん…」
「本当だからねっ!信じてよね!!」
凌哉くんは何も言わずに前を向くと、スタスタと先に歩いて行ってしまう。
「ま、待ってよ」
私は小走りで凌哉くんを追いかけ、また一歩後ろを歩いた。そして2人でやって来たのは近所の公園。私達はベンチに座り、人一人分くらいの間隔を空けた。