オオカミくんと秘密のキス
「…っ」
凌哉くんの言葉に、正直胸がチクンッと傷んだ。だけど凌哉くんのことは信じてる…
私が静かにコクリと頷くと、凌哉くんはスマホを耳に当てて電話に出た。
「…はい」
電話に出る凌哉くんの声は、どこか低いトーンで落ち着いている。
私が目線を下に向けてうつむくと、凌哉くんは電話をしながら私の手をそっと握り、私の目線はまた凌哉くんに向けられる。
スマホから漏れる妃華ちゃんの声はとても高くて、何を言っているかはわからなかったが、凌哉くんをどこかへ誘っているような会話だということがなんとなくわかる。
「妃華。もうお前と気軽に遊んだり、こんなふうに連絡取るのは控えたい」
凌哉くん…?
スマホから漏れていた妃華ちゃんの声が、聞こえなくなり嫌悪な雰囲気になっていく…
「…沙世と正式に付き合うことになったんだ。だから今までみたいにお前に接することは出来ないし、お前にも割り切って欲しいんだよ」
妃華ちゃんは声を荒らげていて、納得出来ない様子だ。
ここまでしてもらうのは申し訳ない…それに、妃華ちゃんは凌哉くんのことが好きなわけだから…その気持ちになってみたら少しはわかる気もする…
「お前との幼馴染みとしての付き合いを終にしたいわけじゃない。俺は沙世とちゃんと付き合って行きたいだけだよ…」
真剣な凌哉くんの顔に、胸が締め付けられる。嬉しすぎて死にそう…
「沙世がどうのこうのじゃなくて、これは俺が決めたことだから。沙世と付き合っていく上で、俺がこうしたいってことだよ」
凌哉くんがそう言ってくれてるってことは、私のわがままだけじゃないって思ってもいいのかな…
妃華ちゃんに自分に非があるように言ってくれてることが有難い反面、ちょっと心が痛くもなるよ。
また涙が頬を伝う…
弱過ぎる自分に本当に腹が立つ…
ぎゅ
凌哉くんが私を自分の方に引き寄せて、電話をしながら抱きしめてくれた。凌哉くんの胸の中でまた涙が出て、私も背中に手を回した。
「…ああ、悪いな。じゃ…」
電話を終えた様子の凌哉くんはスマホを耳から離すと、通話を切った。
「…なんだって?」
顔を上げて聞くと、凌哉くんはスマホをポケットにしまう。
「わかったってよ」
「本…当?怒ってなかった…?」
「大丈夫だよ。気にすんな」
優しく微笑んで頭を撫でてくれる凌哉くん。
そう言われてもなぁ…やっぱり気になっちゃつなぁ……
「気にすんなって言ってんだろっ」
「痛いぃぃ~」
私の頬をつまむ凌哉くん。その行動で、一気に場の雰囲気が変わる。さっきまでの重い空気が、急に軽くなったようだ…
「もう…」
「ハハ」
つねられた頬を手でさすると、それを見た凌哉くんがケラケラと笑った。
「なぁ…」
「ん?」
ベンチに並んで座り直すと、凌哉くんが私に顔を近づけて話しかけてきた。
「…さっき…妃華には「沙世と付き合うことになったんだ」って言ったけど…これってもう付き合ってる?今、俺らって彼カノなの?」
不安そうに私に聞いてくる凌哉くんを見て、思わずプッと吹き出してしまう私。
凌哉くんの言葉に、正直胸がチクンッと傷んだ。だけど凌哉くんのことは信じてる…
私が静かにコクリと頷くと、凌哉くんはスマホを耳に当てて電話に出た。
「…はい」
電話に出る凌哉くんの声は、どこか低いトーンで落ち着いている。
私が目線を下に向けてうつむくと、凌哉くんは電話をしながら私の手をそっと握り、私の目線はまた凌哉くんに向けられる。
スマホから漏れる妃華ちゃんの声はとても高くて、何を言っているかはわからなかったが、凌哉くんをどこかへ誘っているような会話だということがなんとなくわかる。
「妃華。もうお前と気軽に遊んだり、こんなふうに連絡取るのは控えたい」
凌哉くん…?
スマホから漏れていた妃華ちゃんの声が、聞こえなくなり嫌悪な雰囲気になっていく…
「…沙世と正式に付き合うことになったんだ。だから今までみたいにお前に接することは出来ないし、お前にも割り切って欲しいんだよ」
妃華ちゃんは声を荒らげていて、納得出来ない様子だ。
ここまでしてもらうのは申し訳ない…それに、妃華ちゃんは凌哉くんのことが好きなわけだから…その気持ちになってみたら少しはわかる気もする…
「お前との幼馴染みとしての付き合いを終にしたいわけじゃない。俺は沙世とちゃんと付き合って行きたいだけだよ…」
真剣な凌哉くんの顔に、胸が締め付けられる。嬉しすぎて死にそう…
「沙世がどうのこうのじゃなくて、これは俺が決めたことだから。沙世と付き合っていく上で、俺がこうしたいってことだよ」
凌哉くんがそう言ってくれてるってことは、私のわがままだけじゃないって思ってもいいのかな…
妃華ちゃんに自分に非があるように言ってくれてることが有難い反面、ちょっと心が痛くもなるよ。
また涙が頬を伝う…
弱過ぎる自分に本当に腹が立つ…
ぎゅ
凌哉くんが私を自分の方に引き寄せて、電話をしながら抱きしめてくれた。凌哉くんの胸の中でまた涙が出て、私も背中に手を回した。
「…ああ、悪いな。じゃ…」
電話を終えた様子の凌哉くんはスマホを耳から離すと、通話を切った。
「…なんだって?」
顔を上げて聞くと、凌哉くんはスマホをポケットにしまう。
「わかったってよ」
「本…当?怒ってなかった…?」
「大丈夫だよ。気にすんな」
優しく微笑んで頭を撫でてくれる凌哉くん。
そう言われてもなぁ…やっぱり気になっちゃつなぁ……
「気にすんなって言ってんだろっ」
「痛いぃぃ~」
私の頬をつまむ凌哉くん。その行動で、一気に場の雰囲気が変わる。さっきまでの重い空気が、急に軽くなったようだ…
「もう…」
「ハハ」
つねられた頬を手でさすると、それを見た凌哉くんがケラケラと笑った。
「なぁ…」
「ん?」
ベンチに並んで座り直すと、凌哉くんが私に顔を近づけて話しかけてきた。
「…さっき…妃華には「沙世と付き合うことになったんだ」って言ったけど…これってもう付き合ってる?今、俺らって彼カノなの?」
不安そうに私に聞いてくる凌哉くんを見て、思わずプッと吹き出してしまう私。