オオカミくんと秘密のキス
そんな凌哉くん見てなんだか愛おしくなり、胸がキュッと鳴る。

今さっき伝えたばかりの想いを、もう一度言いたくなるよ…






「沙世。大好きだ」


しゃがみ込んでいた凌哉くんが立ち上がり、私の両手を握る。



「私も…大好き」


私がそう返すと、凌哉くんは私に軽いキスをする。





私…凌哉くんの彼女になれた……

本当に嬉しい…




私は喜びを心の中で噛み締めながら、凌哉くんの手を握り返した。


夏休みの前日。私と凌哉くんが結ばれた日…

今日が私達の大切な記念日だね。







「もうちょっとここにいる?」

「え?」


握っていた両手の片方を離して、もう片方の私と繋いでいる手を絡ませる凌哉くん。





「うん!まだいたいな」


せっかくだから、もう少し一緒にいたい。





「飲み物でも買うか」

「そうだね」


公園の外にある自販機を見つけると、私達はそこで飲み物を買いまた公園の中に戻ってきて、ベンチに並んで腰掛けた。

私と凌哉くんは隣同士ぴったりとくっついていて、私はカップルになれたことを改めて実感する。




当たり前だけど、付き合う前とは距離からして全然違うんだなぁ…

前々からキスとかはしてたけど、付き合ってわけじゃないから、こんなふうにくっついていたりはしなかったし…

こういう些細な変化でも、恋人同士だということが確認できているみたいで嬉しくなるよ。






「…」


ちらっと隣にいる凌哉くんを見ると、公園をぼんやりと眺めながらさっき買った缶コーヒーを飲んでいる。







「…なに考えてるの?」


私が顔をのぞき込むと、凌哉くんは私の方を見て優しく微笑んだ。






「この公園が俺らの思い出の場所になるんだなって思ったら、なんか嬉しくってさ」

「思い出の場所…」


公園内を見渡してみると、ごく普通の公園なのになんだかとても特別な場所に思えた。

今日は記念日であり、そしてここは私達の特別な場所になるんだね…






「嬉しいな」


凌哉くんの腕にそっとしがみつく私。

恥ずかしいよりも、凌哉くんに触れたいと思う気持ちの方が大きかった。



凌哉くんの事が好きだって気持ちが、たくさん溢れてくる…

好きって、こんなにも胸がいっぱいになるんだね…








「沙世。好きだよ」


凌哉くんと私の唇がゆっくりと触れる。


さっきよりも長くて甘いキス…

やっぱりちょっと恥ずかしいかも…




2人だけしかいない公園で、それからお互いのことを話した。

凌哉くんと過ごす一秒一秒が愛おしい…こんな気持ち初めてだよ。






「もう9時か…結構遅くなっちゃったな」
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