きみLOVEスクープ
「なぁ、聞いてんのかよお前」
ぐいっ…!
「うぐっ!」
あまりに固まりすぎているあたしに、彼はイライラした様子でさらに強く後ろ襟を引っ張った。
ご、拷問…っ!
くるしい…っ!
「や”、やめ…っ!」
あたしはあまりの苦しさに身悶えながら足をジタバタさせた。
すると
サッ
「ゴホッ…!ゴホッ」
突然放されたせいであたしは思わず地面に両手をついて咳き込みだした。
な、なんて猟奇的な男なんだ…っ!
ほんとにこいつ…
相良棗なのか…っ!?
あたしは咳き込みすぎて涙目になりながら後ろを振り返り、その男を睨んだ。
「なんだその目は。もう一回されてぇのか」
その男はそう言ってにやりと笑った。
ひぃっ…!
あたしは身の危険を察知し、慌てて立ち上がり退いた。
な、なんなんだこいつは!!
もはや鬼畜じゃないのか…っ!?
「あ、あなたいったい何者なんです!?」
あたしは次はやられまいと身構えながら聞いた。
「それはこっちの台詞なんだけど」
なっ!
あたしが何者だと!?
…うぬ。
それは答えにくい状況だ。
新聞部で、あなたを張り込み調査しています。
なんて答えたらどうなるだろう。
すぐに打たれることくらいは容易に想像できるだろう…。
「それは答えられません!」
すると
「ふん、だろうな。普通なら言えねぇよな、そんな変態趣味」
そう言ってその男は軽蔑の目を向けてきた。
へ、変態趣味だと!?
それは聞き捨てならんな!!
確かに人の私生活に干渉することはいかがかなことかと思う。
しかしこれは義務だ!!
決して趣味ではない!!
それに、新聞部の一員として、それを変態趣味だなんて許すまじ発言…!
「変態趣味なんかではありません!!これは義務です!!神聖なる義務です!!」
あたしは男の発言をどうしても許すことができず、そう言い張った。
すると
「ふぅん?…ならこれはなんだ!!」
ガシッ!!
「あっ!!!」
その男はなにやら怪しげな目であたしを舐め回すように見たかと思うと、首にぶらさがったデジカメを瞬時に奪い取った。
しまった!!!
なんとデジカメをとられるとは!
しかも調査対象人物に!!
「か、返してください!!それは大切なもの!!決して一般生徒が覗いていいものではないのです!!」