【いつきの小説講座】
そもそも“物語”とはどのようなもののことをいうのか?
それは、
『障害や困難をいかに乗り越えていくか』
を描いたものだと言い切ることができる。
この『困難』が陳腐であったりたやすいものであれば物語としては味気ないだろうし、どれだけ強大な困難であってもいともたやすく乗り越えてしまったのではそれはもはや困難などではない。
例えば、だ。
『人付き合いの苦手な主人公(女子)がある日突然学校で一番人気の男子と付き合うことになる』
というストーリーがあったとしよう。
人気の男子が主人公にいきなり告白してきたという話だ。
さて、ではこの場合主人公はその告白をすんなり「はい」というだろうか?
この主人公は男女にかかわらず人付き合いが苦手だ。
しかし男の方は男女問わず人気がある。
当然男の周りには人が集まり、そんな男と付き合い始めれば当然のことながら主人公の周りにも人が寄って来ることが容易に想像できる。
そんな男に人付き合いの苦手な人間が“ただかっこいい”という理由だけで付き合うだろうか?
まずそこでひとつの葛藤が生まれるはずだ。
ここですんなり付き合うよりも、様々な困難を乗り越えた末に付き合うことになった方が『物語』としては面白い。
そうしてその困難の末に付き合い始めたふたりに待ち受ける周囲からの障害の数々。
そして行き着く先は……と、これでひとつのつんでれ……シンデレラストーリーの出来上がりだ。
『困難』とはその人物の持った性質、設定から生まれる。
例え他の人物にとってはどうということのないことであっても、その人物にとっては中々越えがたい壁になることもある。
それが“キャラクターの個性”ということだ。
この個性を踏まえることで困難は生まれる。
これを無視して生まれる困難など“不要”だ。
もし、このキャラクターの個性を無視して物語が進んでいくのであれば、その物語にとってそのキャラクターは“必要がない”ということに他ならない。
だからこの“個性”と“困難”の関係性にはよく注意して欲しい。