【いつきの小説講座】
皆は小説をなんのために書いているだろうか?
愚問だな。
それは間違いなく“読んでもらうため”に書いているはずだ。
そう。
小説とは、読者によって読み解かれるものである。
そのときに読解(どっかい)の手がかりとなるのは、個々の読者の読書体験と何より
『コモン・センス』
すなわち“常識”だ。
読者層、つまりはナゲット、違う……バケット、これも違うな……あぁ、ターゲット!
あ~、このターゲットによって生じる小説の“書かれ方の違い”はここに由来する。
読者は自分の常識を手がかりにして小説の世界に入っていく。
虚構(きょこう)世界への入口となるのがその世界の主人公、あるいは語り手の持つ常識。
読者と主人公、語り手の知識がどこかで『コモン(共通)』であるからこそ、読者は作品の世界に入り込めるんだ。
逆な見方をすれば、読者を作品世界に導き虚構にどっぷりと浸らせる──感情移入させるためには、読者の持つ常識との接点を必ず作っておかなければならない。
もちろん。
作者に想定読者並みの常識がない
なんていうのは“論外”だからな。