【いつきの小説講座】

描写というのは“単語”だけで終わらせないところから始まります。

例えば「珈琲」であるならば、それは熱いのか冷たいのかから始まり、インスタントなのかドリップタイプなのか、ど甘なのかブラックなのか等を突き詰めてみます。

それからその珈琲を飲む人はどういう状況で、心境で飲んでいるのか、ということも考えていきます。

例えば同じ熱さや味の珈琲でも、それを飲む人間の心の状態によって感じるものは違ってくるものです。

ほら、その日の気分次第で同じような空でも全然印象が違ったり、気付かなかったことに気付いたりしてしまうでしょう？

だからそのシーンにおける「珈琲」はそこでしか存在しない「珈琲」なんですよ。

それを書いてあげることで、読者がキャラと同じ「珈琲」を“読むことで味わう”ことができ、より作品に“シンクロ”していくんです。

これを簡素な“単語”だけでしか書き記さない作品になってしまうと、物語全体が薄味の簡素なものになってしまうんです。

いくつか例を挙げておきますね。