戦国LOVE

怒りの勢いのまま、今にも殴りに向かいそうな教師。そこで、タイミング良く試合終了を告げるゴング…いや、チャイムが鳴る。




「起立ーーー!」




クラスの誰が言ったかは分からない。ただ、その声の意図する考えは分かった。全員が立ち上がる。




「ちょっと待て、待て!!まだ途中だろうが!!??」




慌てる教師をよそに号令は進む。




「気を付け!礼!!」




「待てと言っているだろうが!!」




「ありがとうございましたーーー!」





挨拶と同時に教室を飛び出す生徒やお弁当を取り出す生徒など、完全に教師の存在は生徒たちの中には無くなった。その光景にただただ唇を噛み、教材を荒々しく脇に抱え、教室を出ていく教師。その姿を見た生徒たちは一斉に盛り上がる。




「ヤッター!」「よっしゃー!」「ざまあみろ!」




まるで、何かのスポーツで優勝したかのように、教室が歓喜に包まれる。何人かの生徒は家康に近付いて、「さすが!」や「ありがとう!」など家康を称賛していた。家康も少しハニカミまじりに照れ笑い、鞄からお弁当を取り出した。



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