.:*・'仮恋〜甘い声で惑わす君〜.:*・'
興奮してるお母さんとは対照的にあたしの頭はハテナマークでいっぱいだった。
いやいや、何言ってるのお母さんは。
あたしに彼氏なんてできるわけっ・・。
「あっ!!」
ふと思い出した昨日の出来事に慌てて階段を駆け下りる。
「っ!!やっぱりっ!」
玄関先にいた彼に目を見開いて駆け寄る。
「・・・なんだよ。朝から騒がしいな」
「なんだよ、じゃないよ!
なんでここまで来るの鳥羽君!!」
だるそうに肩にバックを掛け直すとあたしの方に体に向ける。
「迎えに来たんだよ。彼氏なんだから当たり前だろ?」
「だからって、ここまで来なくてもっ!
しかもあたしたち本当の恋人じゃ」
「何、失礼なこと言ってるの優実!
鳥羽君に謝りなさい!!」
あたしが鳥羽君に言い返そうとするとお母さんがあたしたちの間を割って入ってきた。