.:*・'仮恋〜甘い声で惑わす君〜.:*・'
壁に寄りかかっていた体を起こし、カバンを肩にかける。
「なんで、鳥羽君がいるの?」
「なんでって、優実と帰ろうと思って」
「あたしと帰る・・・?」
「お前、担任に雑用頼まれてたみたいだし。遅くなって一人じゃかわいそうだなって思ったんだよ」
そのためにわざわざ待っててくれたの?
ただの仮の恋人なのに・・・。
胸がキュと音を立てる。
「・・・なに、もしかしてきゅんとしちゃった?」
あたしの顔を覗き込んでくる。
「そ、そんなわけないもんっ!」
プイッと視線をそらし、赤くなった顔を隠す。
そんなあたしを見て、またからかうようにクスクスと笑う。
「やっぱり、優実は面白いな。ほら、もたもたしてないで帰るぞ」