.:*・'仮恋〜甘い声で惑わす君〜.:*・'
やっぱり、ダメなのかな・・・。
不安になりながら見つめるといつもの意地悪な笑みを見せる。
「そんなんじゃ、全然ダメだな」
「えっ・・・」
「そうじゃなくて、こうだろ」
あたしが握っていた手を離し、指を絡める。
「ほら、帰るぞっ」
ぐいっと引っ張りまた歩き出す鳥羽君。
その姿に笑みが溢れる。
なんだ、ダメってそういうことじゃないのか。
スタスタと歩き出したのは照れ隠しに見えるのはわたしだけかな?
そんな疑問も芽生える。
「ねぇ、鳥羽君っ!」
「あと、その鳥羽君って言うのやめろって言ったよな?」
あたしが喋ろうとしたのにそれに重ねて喋べる鳥羽君。
そして、不満そうな顔。
「それは、やっぱりなんか・・」
「恭弥って、呼べばいいだけだろ?」