.:*・'仮恋〜甘い声で惑わす君〜.:*・'
赤点のご褒美は甘いもの
「おはよっ、優実!」
「お、おはよ・・・」
元気な藍香の声に上の空の声で答えるあたし。
やはり、何枚も上手な鳥羽君にはかなわないみたい。
あっ、鳥羽君じゃなくて恭弥だったよね。
あれから、自分なりに名前で呼べるように努力してます。
「もう、優実!聞いてんの?」
「えっ!?あぁ、ごめんごめん」
気がつくと真正面に藍香の顔があって思わず仰け反る。
「で、なんの話だっけ?」
「はぁー、もういいわ。
そんな大事な話じゃなかったし」
「ええっ!?そんなっ」
諦めたように自分の席に戻っていく藍香。
「ねぇ、教えてよー」
「もういいってば、優実しつこいっ!」
そんなに怒らなくても・・・。
少しだけシュンとなりながら藍香を見つめる。
「あっ、あと数学の山下が優実のこと探してたよ?」
「えっ、本当に?」