.:*・'仮恋〜甘い声で惑わす君〜.:*・'




低くて綺麗な男の人の声。




その声に永沢君の動きも止まる。




「あ?誰だよこんな、いい時に」



そう言いながら、声のした方に目線をずらす。




「・・・お、お前はっ!」




その人の顔を見た瞬間仰け反るようにあたしから離れていく。




慌ててあたしも永沢君の目線の先にいる男を見る。




その人にあたしも目を見開く。




「・・・鳥羽君」



あたしが小さな声で呟くと一瞬だけ、あたしの方を見てすぅと目を細める。




「お前、さっきこいつにしてたこと先生とかに言っちゃっていいわけ?」




「い、いや!だ、だめですっ!」



あたしから目線を外し永沢君を睨みながらそう言った。




永沢君も相手が鳥羽君と分かってオロオロと焦りだした。




さっきと態度が別人・・・。




「んじゃあ、さっさとここからいなくなってくんない?」




「は、はい!すみませんでしたーっ!」

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