.:*・'仮恋〜甘い声で惑わす君〜.:*・'
猛スピードでこの場所から逃げていく。
あーあ、なんか可哀想かも・・・。
そんなことを思いながら、永沢君の小さくなっていく背中を見つめる。
「おいっ、何ぼけっとしてんだよ」
「あっ、ごめんなさい。つい・・」
あたしはそこまで言って固まってしまった。
やっぱり、みんなが知ってるだけあるよねー・・・。
改めてそう思った。
鳥羽恭弥君(とばきょうや)。
うちの学校で知らない人はいないほどの有名人。
成績は常にトップ、運動神経抜群でおまけに顔もモデル顔負け、身長も高くて165㎝のあたしでも少し見上げないとダメなくらい。
まぁ、才色兼備ってやつです。
でも、性格はとにかくクールらしくて、追っかけをしてる友達いわく、笑顔は滅多に見せないんだそう。
まぁ、あたしが知ってるのはこれくらいで、ほぼ人から聞いた情報なので合ってるかどうか不明なんだけどね。
「なに、固まってんだよ」