蒼色ルーム
蒼色9.5(紺side)
「紺ちゃーん。一緒に帰ろ」
中学の時から一緒で彼女である茜に言われる。
茜は、紗和と同じく、俺から逃げていかなかった俺の大切な人である。
「紗和もいるぞ」
「全然いいよー」
茜はすごく優しいし、いい子だ。だから…すごく…好きだ。
本当に茜にはお世話になってるし。
「帰ろーか」
「うんっっ」
茜と手を繋ぎ、紗和が隣で歩く。電車に乗って…いつも通り帰る。
そう…いつも通り。
「あの…車…」
茜を家へ送ろうとしていたとき、俺たちが歩いている反対側で知っている車が通った。
「…紺ちゃん?」
あの車の運転手は桃里さん。その後ろで座ってたのは葵だった…。
「こぉーんちゃぁーん」
なんだよ、あの2人。てか、なんだよ、桃里さんのやつ。
葵を迎に行って、俺は迎にこねーのかよ。最低だな。
まぁ…茜と紗和と帰れてるからいいか。
「もう。紺ちゃん、気づけ!!」
パシンと俺の目の前で手を叩く。
「ごめん、茜」
「いいけど…どうかしたん?」
茜に言わない訳じゃない。だけど…何故か言えなくて。
口が開かないって言うか…。不思議だ。
「大丈夫…ごめん」
「いいよ。あ、私帰るね」
「あ…ごめん。バイバイ」
「うん。バイバイ」