ようこそ、【デクヴァイ】へ。


「まぁ、そんなもんかな。
気になるなら見て回っていいよ~?
一応君、お客さんだしね」



惜しげもなく、やたら長い足を組み直す店長さん。

同世代の中じゃ、ちょっと(※重要)、ちょっと(※めっちゃ重要)小さい私には非常に羨ましい限りの動作です…。

イラッ、としますね。



「じゃあ…、遠慮なく…」

「うん、どーぞー」



軽~く許可を頂いた。

店長さん、本当に、そんなんで大丈夫なんですか。

もし私が何か盗んでも、貴方絶対気づかないで扇子パタパタしてお茶すすってるタイプの人だよ。絶対。

まぁ、盗まないけど。怪しいし。



でも、ワクワクは……、する。

正直ね。

だって何があるのかすっごく気になるもん。

さっきまでボロボロだと思ってた気持ちも体も、スーッと軽くなったみたい。


奥まで続く暗闇。

ちょっとした証明が、等間隔に困らない程度にあるだけ。


正直少し怖いけど、でも今はワクワクのが勝ってる!




さぁ、貴重な第一歩!

…と、思って足を踏み込もうとした直前。

あ、と短いけど確かに鼓膜を振るわせた一言に、私の足はピタリと止まった。



「言い忘れてたんだけどー」

「……何」

「や~ん、女の子なんだから怖い顔しちゃダメよ~」



じと~、と下目で振り返ってやったら、何やら気色悪い動作と言葉を返してきた。

お母さん、私やっぱりこの人を店長さんだと思えません…。

明らかに、明らかに!

関わっちゃ行けない人種です!!!!



何も答えることなく、じと~、と睨み続けてみたら、先に根負けしたのか小さく咳払いをした店長さん。

よっしゃ、私の勝ち!



「…コホン。
えっとね、ゆっくりじっくり見てくれてかまわないけど…」

「…?」

「もし、商品に触りたくなったら僕に言ってね。
作家さんがいたらその人に声かけてもらえばいいから」



まぁ皆忙しいからいることのが珍しいけどねぇ~、なんて続けながら、ハッハッハッと笑い出されたけど。

ぇ?作家さん?



……いるんですか、此処に。








(非常に小汚い倉庫みたいな店内に、いるんですか作家さんっ!!??)

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