ようこそ、【デクヴァイ】へ。
「ぇ、何あれ…」
昨日まではなかったはずのもの。
確か昨日までは…、うぅん、朝までは其処には緑いっぱいな空き地があったはず。
だってこの道は私が3年間通い慣れた道。
時には友達と談笑しながら歩いて、時には宿題で重たいリュックをうんうんと唸りながら歩いて、時には先生に怒られてふて腐れながら歩いた道。
だから間違うはずない…。
「ここって売地だったのかな…」
ちょっと怖いけど、恐る恐る近づいてみる。
だって気になる。うん、すっごい気になる。
私の思い出図々しく割り込んできたやつは誰だ、とか。
こんな(外見からしたら)ボロボロなお家に住んでる物好きって誰だ、とか。
…うん、100%好奇心、ってやつです。
そろ~…っと、物音立てないように。
さく…、さく…、と手入れされている、とはお世辞にも言えない草を踏み分けて目指すは目の前の古い建物。
ここら辺は古い家が多いから別段目立ってる、ってわけではないけれど…。
形状が、すごく目立ってる。