ようこそ、【デクヴァイ】へ。
「いーよ、許したげる」
「…(なんか不本意…)」
一応素直に、ごめんなさい、って謝ったら許してくれたみたい。
でも下着見られたことは許さん、絶対にだ。
……謝られたけどさ。
よっこいしょ、とじじくさい掛け声とともに立ち上がった危険人物。
きっと私がこんなに不本意だと感じるのは、絶対この人の容姿のせいだ。
……ってことにする。
ボサボサの髪の毛を後ろでくくって、キューティクルなんて皆無な頭。
今時あり得ないでしょ、ってくらい大きいフレームで目が見えないくらい厚いレンズのメガネ。
てろてろに伸びきってるだろうTシャツ、ズボン。
その上にはこれまた洗濯したのか分からないくらいクタクタなエプロン。
…………怪しんでくれって言ってるようなもんでしょ、これ。
まぁ、髭はちゃんと手入れしてるのか綺麗だけど…。
「ぃや~、しかしお客さんなんて久々だねぇ~」
ぎしっ、と音を立てながら元いた椅子に腰掛けて、扇子でパタパタ仰ぎだした。
どこからそんなもの出した!??、とか、今は冬ですけど!??、とか。
ツッコみたいところは其処じゃなく。
「ぇ、此処ってお店なの?」
「え、気づかなかった?」
どっからどう見てもお店じゃな~い、とか笑ってますけど貴方。
こんな古びた外見で、倉庫みたいに物が乱雑にあっちこっちしてる中見たら、お店なんて思えませんよ?
「看板だって掛かってるのになぁ~」
「ぇ、嘘」
「本当、本当」
ちょいちょい、と外を指さされたので、一歩外へ踏み出し辺りを散策。
きょろきょろと右往左往。
ふっ、と上を見れば何やら英語みたいなものが書かれてるボロボロの板、発見。
「これか」
「それだ~」