片道キップを二人分
いつもより随分遅い時間の帰宅。
もしまだ、斗真が帰ってきていなかったらあたしはガッカリするんだろうか、と考えた。
徹也さんに送ってもらう間、あたしはまた斗真のことを考えて、そんな自分が本当に嫌なのに、どうすることもできずに悶々とした。
「あれって」
「徹也さん?」
突如立ち止まった徹也さんに倣って足を止める。
「ほら家の前……あれ、真菜の兄貴じゃないのか?」
そんな言葉に驚いて前を向き直せば、玄関前の段差からゆっくりと立ち上がる斗真の姿。
「心配で、待ってたんじゃない?」
「まさか…」
喉がカラカラに渇いた。
カバンの中でしつこいくらいに鳴り続けた電話が、斗真からだなんて有り得ない。
だって。
斗真だってあたしと二人の家にいたいはずなんかないんだから。