片道キップを二人分
「斗真?」
振り返ろうとした所で力任せに壁に押し付けられた。
あたしの身体は斗真の身体で逃げ場を失い、両の手は斗真の手によって拘束をされて。
唇を、斗真の唇に、塞がれた。
「…んっ……と…ま…」
僅かに唇が離れた隙間で声を紡ごうとすれば、斗真の舌が隙間から侵入を果たす。
驚いて、見開いた瞳から涙が零れ落ちた。
それでも、あたしは抵抗らしい抵抗を全くせずに、斗真にされるがままでそれを受け入れた。