片道キップを二人分
あれからあたしたちは別々の大学に進んだ。
二人で決めた一つの目的の為に、別々の揺るぎない資格を手に入れる為だ。
斗真は法学部を出て弁護士資格を手に入れた。
国内の法律事務所で働きながら、更にはその先の目的を果たす為の努力を怠らなかった。
あたしは海外にも拠点を持つ企業に就職をして、海外勤務の希望を出し続けた。
息子と娘が揃って米国の弁護士事務所への就職を決めたことと転勤になったことを告げた時、何も知らない両親は少し寂しがり、これまでの二人の努力の証だと、たくさん喜んでくれた。
一緒に住むことは伝えていない。
あたしは会社の女の子と、ルームシェアする予定だと言ってある。
飛行機が嫌いな両親は異国の地まで来ることはないだろうし、お互い、友人の誰にも米国行きを伝えていない。
人の目を気にせず、手を繋いで歩く為だけに、あたしたちは此処を離れるのだ。