片道キップを二人分
だって。
里枝ちゃんが元彼に付き纏われて困っていたことも、それを斗真に相談していたことも。
斗真が里枝ちゃんの相談に乗っていたことも、あたし以外の女の子の相談に親身になって乗っていたことも。
あたしは今の今まで、全く知らなかったのだ。
「なんで?…放っておけば…」
「お前…仮にも友達だろ?」
斗真の呆れたような視線に、胸がズキズキしてきた。
「だって…そんなの里枝ちゃんが…」
「なんだよ?」
「…元々人のモノに手を出して取るから…」
「だからってなぁ、嫌がらせとかされてんの聞いて、放っておけるワケねぇじゃん…」
向かい合って座った状態の斗真が、ガシガシと髪を掻いた。
「でも……斗真が付き合うこと、ないじゃん…」
あたしは俯いたまま、ボソッと呟いた。