片道キップを二人分
里枝ちゃんは友達だけど。
友達だからって、全部が全部を受け入れられる訳じゃない。
自分でも自覚してるらしいけど、人のモノが欲しくなるという性格は、どうしたってあたしには理解できなかった。
どうせ斗真のことだって、斗真がモテるから、とかあたしのモノだから、とかで欲しくなったに違いない。
それに。
斗真だって、里枝ちゃんが今までいろんな男と付き合ってきたのを知ってるはずなのに。
「とにかく、そういうことだから、明日からお前、先帰っていいから」
「斗…真?……なんで?…あたしより、里枝ちゃんのが大事なの?」
「何言ってんだよ?」
斗真が呆れたような、困ったような表情をしているのには気づいた。
それでも、あたしの心の中はぐちゃぐちゃで、もう、止められそうになかった。