片道キップを二人分
「おかしいよ斗真…なんで里枝ちゃんなんかと」
「お前なぁ…自分の友達のこと、なんかとか言うなよ」
「だって!斗真が変なこと言うからっ!」
あたしの手が、斗真の手首を掴んだ。
「変じゃねぇじゃん……別に、女に興味持つのなんて、普通だろ?」
苦しげに吐き出されたその言葉で、あたしは斗真をジッと見上げた。
「だったら」
「……手、放せよ」
「やだ」
「真菜!放せって!!」
「だって!里枝ちゃんと付き合ったら手、繋ぐでしょ?キスしたり、それ以上のことだってっ!」
言葉にした瞬間、あたしの胸はこれ以上ないくらいに締め付けられる。
次に気づいたのは、斗真の見開かれた瞳と、自分の頬を伝う涙の感覚。