片道キップを二人分
「…あたしじゃ、ダメなの?」
ボソッと呟けば頭上からもの凄い勢いで、真菜!と斗真の怒鳴る声。
喉に何かがつっかえたみたいになって、斗真のその怒鳴り声にも驚いて、あたしはギュッと唇を噛み締めた。
「あたしたち、ずっと一緒だったじゃん」
「お前いい加減に…」
「あたしは斗真が「真菜!!」」
斗真の手首を掴んでいたあたしの手が、グイッと引っ張られて指先が解けた。
振り払われた手も、遮られた言葉も。
あたしの行き場のない想いが、空中で弾けて消えた。