嫌い嫌いも、好きのうち!
「ていうかさ、いい加減覚悟決めて、無理矢理にでも渡しちゃわないと後悔するからね?」
「……わかってるし」
幸せそうなオーラをまとうマリちゃんとは真逆の、どんよりとしたオーラを放つあたしには、もちろん彼氏なんかいない。
でも、ずっと好きな人がいる。
毎年こうしてチョコを作るのはアイツのためだけど、一度も渡せたことがない。
「はあ……」
「ちょっと、ため息とかやめて。辛気臭くなるでしょ!」
小さく吐き出したため息に目ざとく気づいたマリちゃんは、あたしをにらんで怒るけど、すぐに表情を変えて心配したような顔をした。
「あのさ、幼なじみって言っても、もうすぐ卒業でしょ? それに、あんたと翔(かける)くん、大学も別っぽいじゃん。あんたの知らない間に、彼女できちゃうかもよ? それでもいいの?」
「よくないよっ!」
マリちゃんの言葉に、嫌な想像が頭の中を一瞬で埋め尽くして、気づけばそう叫ぶようにして言っていた。