嫌い嫌いも、好きのうち!
翔は、あたしの幼なじみ。
物心つくころからいつも隣にいた、あたしがずっと好きな人。
小学校高学年くらいだったかな。
それまではすごく仲良くしてたんだけど、思春期に入り始めたその頃から翔とギクシャクしちゃって、まともに話せないままこんなに時間が経った。
中学も、高校だって同じ。
家も真向かいっていう、近い距離にいる。
でも、翔との心の距離は、果てしなく遠い。
「マリちゃん。翔、チョコ受け取ってくれるかなあ」
まだ包まれていないチョコを見て、そうつぶやく。
「……あんたが作ったやつなら、受け取るでしょーよ」
「え? 今なにか言った?」
「別になーんにも」
それきり、キッチンは静かな空気に包まれた。