嫌い嫌いも、好きのうち!

「そういえばさ。翔、甘いもの嫌いだからって、女子からのチョコ突っぱねてるんだけど。これ、めちゃめちゃ甘いよね……?」


 “俺、甘いもの嫌いだから”


 毎年のバレンタイン、幼なじみが女子に決まって言う言葉を今さら思い出して、少しだけ焦る。


 翔のこと、なんでも知ってるつもりでいた。


 だけど、実際はなにも知らないんだと思う。


 小さい頃、チョコレートが大好きで、というか甘党で、一緒に食べた3時のおやつでよく取り合いをしてケンカした。


 甘いもの、好きだったはず。


 でも、あたしが知らない間に、翔の好みは変わっていて。


 いつ変わったのかも知らなくて、ちょっとだけ悲しくなる。

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