嫌い嫌いも、好きのうち!
クラスの女子が誰彼構わずあげる義理チョコも、翔はそう言って断っている。
呼び出されて女子から差し出された本命チョコも、同じように断っているんだって、ヒロトくんが教えてくれた。
翔とヒロトくんは、お互い一番気の合う友達みたいで仲良しだから、よくマリちゃん経由でそういう情報をもらってる。
だからこそ、余計に不安。
食べてもらえなくてもいいけど、せめてチョコだけは受け取ってほしいって思う。
今までのバレンタイン、どうせ渡せないからって、自分好みの甘いチョコレートを作るっていう癖が出た。
今年こそは翔に渡したいけど、甘いから、受け取ってくれないかな……。
「……あんた、まさかと思うけど、チョコ渡して終わりなわけないよね?」
「へ?」
片方の口角を上げて、頬をぴくぴくさせているマリちゃんに、思わず間抜けな返事をした。