私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~



「え- もうちょっと静架ちゃんとこうしていたい」

愛嬌のある顔で更に静架を抱き締める。


──止メテヨ、コレ以上…


「はぁ…、笹木先輩、人肌が恋しいんですね」

静架は抵抗する気も失せたのか、されるがままになっている。


──コレ以上、静架ニ…


(駄目、落ち着いて…)

自分に言い聞かせる。
でももはや体の支配権など私は持っていなくて。
押し寄せる不快な波に呑み込まれそうになる。


「お姉ちゃん、いい加減に─」

茉莉衣ちゃんが言い掛けた。


──静架ニ…、


「静架に、触るなっ!!」


パシッ





和やかな空気が一瞬にして氷点下へ。


誰もが息を殺して、私を見ている。




──私は、………



「──っ」


自分のしたことへの驚きと、みんなの──とりわけ静架の──反応が怖くて、黙って稽古場を飛び出した。




「──奈緒!!」


ハッとした瑠衣さんの呼び声にも振り返らない。



誰か──

誰か、私の中のケモノを払って──。


< 101 / 238 >

この作品をシェア

pagetop