私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「え- もうちょっと静架ちゃんとこうしていたい」
愛嬌のある顔で更に静架を抱き締める。
──止メテヨ、コレ以上…
「はぁ…、笹木先輩、人肌が恋しいんですね」
静架は抵抗する気も失せたのか、されるがままになっている。
──コレ以上、静架ニ…
(駄目、落ち着いて…)
自分に言い聞かせる。
でももはや体の支配権など私は持っていなくて。
押し寄せる不快な波に呑み込まれそうになる。
「お姉ちゃん、いい加減に─」
茉莉衣ちゃんが言い掛けた。
──静架ニ…、
「静架に、触るなっ!!」
パシッ
和やかな空気が一瞬にして氷点下へ。
誰もが息を殺して、私を見ている。
──私は、………
「──っ」
自分のしたことへの驚きと、みんなの──とりわけ静架の──反応が怖くて、黙って稽古場を飛び出した。
「──奈緒!!」
ハッとした瑠衣さんの呼び声にも振り返らない。
誰か──
誰か、私の中のケモノを払って──。