私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
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気が付いたら、あの秘密基地にうずくまっていた。



…自分のしたことが、分からない。



一度だって、あんな声で、顔で、怒ったことなど無い。



瑠衣さんはただ、からかっただけなのに。いつもの他愛ない冗談なのに。




……いや、瑠衣さんでなくても、多分怒鳴っていた。





『静架に触れることは、何人たりとも許されない』




心臓が大きく跳ねた。
なんていう自分勝手な感情。

でも嫌なんだ、心から。


静架が笑うのも、泣くのも、喜ぶのも、全て私の為であってほしい。



涙は、流れるままに溢れ落ちる。




「本当、どうしちゃったの……」



……消えてしまいたい。
静架を想う度に、こんなに、呼吸が止まるような思いをするならば。




名を持たぬ感情は、いつの間にか主でさえ扱え無いほど肥大し、一人歩きを始める。



私はゆらゆら立ち上がった。

すると、


「奈緒------っ」



遠くから、瑠衣さんが私の名を呼んでいる。


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