私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
声は、直ぐに姿を表した。
息を切らした瑠衣さんが、私を捕まえてベンチに座らせる。
「──奈緒、大丈夫?」
「はい…。──さっきは、すいません、私……」
ちら、と赤くなっている瑠衣さんの頬を盗み見た。
視線に気づいたのか、瑠衣さんは軽くさする。
「平気よ、茉莉衣にしょっちゅう叩かれてるもの」
いつもと変わらぬ、無邪気な笑顔。
私はほっとして、すぐさま落ち込んだ。
(静架は…どう思っているんだろう…)
きっと呆れて、怒っているに違いない。
会いづらい。
でも、顔を見ないでいるなんて、出来そうに無い……。
「奈緒さ、」
出し抜けに瑠衣さんが言った。
「静架ちゃんのことが、大好きでしょ」
「え……?」
真っ直ぐに瑠衣さんの瞳を見てみる。
その目は冗談でも、からかっている訳でも無く、真剣に語っていた。