私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「──奈緒?」
瑠衣さんが心配そうに顔を覗き込む。
「私……、分かりません。恋なのか…」
私が静架を愛しいと思うのは、友達だからじゃないの…?
瑠衣さんは優しく目を細めた。
「私にもそれは分からないよ。それは、奈緒の問題だから。……でも、大切なのはそれじゃ無くて、奈緒は静架ちゃんのことが大好きって気持ちなの」
瑠衣さんはゆっくり、一言一言優しく言った。
『大切なのは、私は静架が大好きという気持ち…』
まるで海は海であるような、鳥は鳥であるような、当たり前な気がした。
それでいて、今までに無い、新しい気分になった。
「落ち着いた?」
「…はい。ありがとうございます、瑠衣さん……」
大きく深呼吸。
この幸せな気持ちを、心に留めておくように。
「それじゃ、練習戻るよ。本番が近いんだから」
「はい」
…正直、みんなや静架の反応を見るのは怖い。
だけど、今はそれ以上に心が晴れ晴れとして、満ちている。
『静架のことが、大好き』
きちんとした言葉にすると、より一層愛しさが増した。