私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~

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それから、季節は二つ巡り、春になった。



私は高等部二年生になり、『永岡 奈緒』として自信を持って振る舞えるようになった。


以前は鬱陶しくて堪らなかった女の子たちの歓声も、今ではさらりと受け止められる。


理由なんか簡単だ。


…側に静架が居るから。





「奈緒、遅刻しちゃうわよ」

「わかってるよ」


私の制服の袖を引っ張る静架。

私より頭一つほど背が低いのに、力は強い。


私はされるがままになって、静架と笑い合いながら教室の前へ。


「それじゃ、また放課後にね」

「うん、また」


手を振って静架を見送る。静架はさっと教室に入り、クラスメイトたちと談笑を始めていた。


私は少し寂しくなりながら、もう二つ先の自分のクラスへ向かう。



私と静架は、別々のクラスになったのだ。




今までずっと静架だけと一緒に居たから、寂しくも切なくもある。



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