私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
なんだか…去りたくないような気分。
たった数分の出来事なのに、奈緒様との会話が心地良かったと思う。
───もっと、話がしたいな…。
もちろんそれは、図々しい願いではあるけれど。
もう一度ちら、と奈緒様を見ると、彼女は微笑んで手を振っていた。
その慈愛に満ちた─それでいて切なさを隠しきれていない表情に、私の心はひどく揺れた。
「あっ あの…っ
また、遊びに来ても良いですか?!」
私は思わず言ってしまっていた。
あっ… どうしよう…!
奈緒様は少し面食らっていたようだけど、ふっ と笑みを溢した。
「いつでもおいで。」
と。
私はなんだか嬉しいのと恥ずかしいのと一杯になって、くるっと回れ右すると足早に薔薇園を去ろうとした。
「──ちぃちゃん。」
気恥ずかしくなるような名で私を呼んで、奈緒様はもう一度微笑みかけてくれた。
「私のことは、奈緒って呼んでね。」