私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
何事も無かったかのような顔で、ぺしっと私の手を振り払う。
「それ、新しい役の台詞?」
「え……?いや、違──」
「全く、そんなに練習したいなら早く部活行くよ」
静架の華麗なるスルーに、呆気にとられた。
でも、同時に安堵もしていた。
良かった、気が付いてない…。
危うく私たちの関係に終止符を打つところだった。
「うん、行こう」
私は無理矢理笑顔を作り、そそくさと駆け出した。
こんな顔、みられたくない。
鏡を見なくたって分かる──きっと、泣きそうな顔をしてる。
くっと唇を噛んで、前を向いた。
(静架…あなたを失いたく無いんだ。)
だから、自分の気持ちを殺してでも、静架の側に居たいよ…。
けれど。
私の気持ちが、大きくなりすぎた静架への想いが、溢れだすまで──
そんなに時間が掛からない…
そんな、予感がしていた。