私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
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『僕たち二人、神に愛された仲であったら、幸せになれただろうか?』



私は何度も何度も、主人公ラディールの台詞を反芻させた。



『出逢っていなければ、その方が幸せだった──でも知ってしまった、蜜より甘美な痛みを…』




(なんなの………)


ラディールの台詞が全て、鋭く、生々しく私の胸に刺さった。


まるで私の頭を覗いたみたい。
ラディールと私は、同じように苦しい想い抱いている。



(──どういうつもりなの?)




さっき言っていた通り、この脚本は、瑠衣さんの完全書き下ろし。


瑠衣さんは、私の想いを知っているくせに、こんなことをさせるの?



エリザベスを静架に、ラディールを私に見立てて、不義の恋物語を演じさせるの?





「もう、やめてよ………」


漏れた気持ちは消え入った。


私はただ、静架の側にいるだけでいいのに。

これ以上、望むものなんかない。




私の心を、掻き乱さないで───。



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