私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「よし、今日はこれまで。
解散----!」
「お疲れ様で-す!」
がやがやと、満足気に練習後の気だるさを言い合う部員たち。
いよいよ新作に取り掛かり、気合いも並みではない。
…だけど、やっぱり私の顔は浮かなかった。
いつもならすぐ役に入りきるのに、今回には躊躇いがある。
───この役は、まずい。
誰よりも、私がラディールの心情を理解できるだろう。
けれど───だから、まずいんだ。
これ以上役に入り込むと、出れなくなる。
私───静架のこと、耐えられなくなる…。
我慢出来ずに、言ってしまうかもしれない。
『愛しています』
…と。
「──瑠衣さん」
「何?」
「私、この役降りたいです」
歯止めが利かなくなる前に。
「どうして?」
「…しらばっくれないで下さい。どういうつもりなんですか?!」