私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
それから本番まで、私は毎日遅くまで稽古に励んだ。
演じていると、忘れられる。
ラディールの心情だって、第三者の視点から捉えれば、そんなに苦しみも伴わなかった。
空元気。
私は再び、強く、強く、自分に魔法を掛けて、『女優である私』を演じた。
───問題なのは、静架の方。
明らかに演技に張りが無くなり、当たり前だが私を避けていた。
やっぱり最初は堪えたけど、今では懺悔のような気持ちで見守っている。
不自然なほどよそよそしい私たちに一抹の不安を感じながらも、演劇部のみんなも何も言わない。
───かつて無いほど緊迫した状況のまま、本番の幕が開けた。