私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
静架は本番後、舞台上の魔法がとけるとすぐに、出ていった。
けれども、なんとなく事情を察している面々は、そっとしておいている。
こういう時、呼びに行くのは私の役目なんだろうけど、足は中々動こうとはしなかった。
顔に張り付いた笑みを振り撒く。
「──奈緒」
瑠衣さんが肘で私の腕をツンとついた。
それが何を意味するのか、言われなくとも分かっている。
時間だ。
私の──誤魔化し続けた気持ちに向かい合う時。
私は出来るだけ明るく、その場から立ち去った。
部屋を一歩出た瞬間、その重みに足を捕られそうになる。
行かなきゃ。
その時
「奈緒先輩……」
ちぃちゃんが、居た。