私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「どうしたの?もしかして、ずっと待っててくれたの?」
相変わらず、ちぃちゃんは私の精神安定剤だ。
彼女の持つ穏やかな雰囲気に、私は少し安心した。
でも今日は、いつものほほんとした彼女の表情が、引きつっている。
「─薔薇園、行こうか」
ただならぬ事情を感じ取った私は、何も言わないちぃちゃんの腕を引いて歩き出した。
「久しぶりなんだ、此処に来るの」
辿り着く間も、ずっと無言だったちぃちゃんを、ベンチに座らせる。
どうしてそんな顔をするの?
可愛い妹分の、そんな辛そうな目は見たくない。
「そう言えば、ちぃちゃん見に来てくれてたよね──」
「…っ 奈緒先輩」
元気出してもらおうと、わざと明るい声音を出すと、ちぃちゃんが遮った。
───そして、次の言葉に、私はまた夢から現実に引き戻されるような、堪らない感覚に陥った。
「奈緒先輩……静架先輩のことが、好きですか?」