私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
私は言葉を──その紡ぎ方を忘れた。
「ど……して、そう思うの?」
視線は宙を虚ろいだまま。
「…この前、見ちゃったから…」
躊躇いがちに。
「…そう」
あの、薔薇園でのできごとを。
私は息を深く吸い込み、そしてちぃちゃんの言葉を何度も頭の中で繰り返した。
『静架先輩のことが、好きですか?』
───もちろん、好きだよ。
誰よりも。
だからこんなに、苦しいんでしょう?
その言葉に、表情に、一喜一憂するんでしょう?
どんなことがあっても、笑顔を見たら幸せになってしまうんでしょう?
私は恋をしている。
「うん、好きだよ」
迷いの無い、明瞭な声で。
もういいや。
ちぃちゃんに聞いてもらったら、なんだか楽になった──というか、踏ん切りがついた。
それは私の写し鏡である彼女に、知ってもらったからかも知れない。