私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「そうですか…。頑張って下さい」
彼女は、驚きもしなければ軽蔑もせずに、慈しむように微笑んだ。
そして───
立ち去り際に、私の頬に、キスをした。
「私、奈緒先輩のこと、大好きです」
泣きそうに、優しい顔をして。
ちぃちゃん。
あなたいつも、どんな思いで此処に居たのかな。
あなたが私と静架のキスを見たとき、どんな思いがしたんだろう。
簡単に想像が出来る。
私と、同じ苦しみ──そして喜びを知っているだろう、彼女。
私が静架を好きだと知っても、懸命に私へ想いを伝えてくれた。
強くて、優しい娘。
彼女の眩しさに見とれ、その後ろ姿が消えると、
「……ありがとう」
ちぃちゃん。
私を好きになってくれて、ありがとう。