私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「──私達よりも、一回りも二回りも大きい門の下を通い続けて、もう11年になります。
少女期、思春期という多感な時期を、この豊かな自然に見守られて過ごしたことを、誇りに思っています。──…」
演劇で鍛えた肺活量をフルに活用して、講堂の中は水を打ったように静まり返る。
「この自由で暖かい学園の中、私達は楽しいこと、辛いこと、嬉しいこと、悲しいこと…沢山のことを経験し、また仲間との絆も深めていきました。」
目の端に、涙を浮かべながらうんうんと頷く教師達が映る。
私はそれを見ながら、軽く冷笑した。
あなた方が何をしたって言うの。
「…そして、大切な人との、出会い──…。」
途端に、教師たちの涙が止まった。
私が何を言い出すのか困惑しているのだろう。
良い気味だ──私は続けた。
「私は、この世で最も大事なもの……愛を、知りました。」