私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
わずかの沈黙の後、ざわめき始める講堂。
私は構わず続けた。
「辛いこともあったけど、それを上回る幸福があった。…それを知ることが出来ただけで、私は本当に感謝しています──この学園に。」
私を支えてくれた一部の先生の為に、とりあえず学園を立てておく。
本当はここで散々学園をなじってやりたけど、10年以上暮らした学園だし、愛着はそれなりにある。
それにここは……彼女と出会った場所だ。
考えていくうちに、悲しみが込み上げてきた。
「これからも変わらず、私たちを見守っていてください。心から感謝を申し上げます。──卒業生代表 3年梅組 笹木瑠衣。」
ぱちぱち と拍手を全身で受けながら、もといた場所に戻る。
私の前席───本来ならもう一人、座っている人がいた。
(エリカ………)
彼女…早乙女エリカと出会ったのは、私たちが一年生の、秋だった。