私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~



私を見つめるエリカの顔に感情は無く、ただ淡々と尋ねただけだった。



「…もう用が無いのなら、私行くよ?」

相槌を打ったきり何も言って来ない彼女に痺れを切らして、私はスカートを翻した。

これから生徒会に顔を出さないといけない。

会長、時間には厳しいからなぁ…なんて考えて、ちょっと足早に向かおうとした、手前。






「待って。」

振り向いた先には、相変わらず無表情の彼女がいた。


改めて見てみると…なかなか可愛い容姿をしている。
会長なんかが好きな感じ。

日焼けを知らない白い肌に、くるくると波打つ亜麻色の髪が肩にかかっている。

日本人離れした彫りの深い顔立ち、長い睫毛。


今さらだけど、稀に見る美少女だなぁ と思った。




「お願いが、あるの」

鈴の様な響きなのに、何故かしっかりした印象を持つ。



「取り壊さないで」



───薔薇園を。



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