私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
(寒い……)
ただひたすらその言葉だけ思い浮かべているうちに、私を苦しめた冷たい風は止み、足元には温かい木目の廊下が通っていた。
私はスカートに吹き付けた白雪を払うと、白い息を漏らせながら懐かしい教室へと向かう。
もちろん、誰も居ない。
私だけの、世界。
まるで全てのものから隔離されたような閑散とした空気を、思う存分味わう。
今日で最後なんだ。
私は薄暗いHRに入ると、そのまま自分の席に着いた。
外は、雪が降っている。
灰色の空間。
私はふと一息つくと、ぼんやりと教卓の方を眺めた。
あぁ、確か……。
ちょっとだけシチュエーションが違うけど、エリカと再会したのも、こんな感じだったと思う。