私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
「ねぇっ 貴女あの時の子だよね?!」
HR終了直後、私はすぐに少女の元に向かった。
あんなに探しても、噂ひとつ聞かなかった少女を、こんなにあっさり見付けられるなんて!
「あの時の…って…?」
少女はゆっくり私を見上げて、ぼそっと言った。
その瞳からは何の感情も読み取れない。
「私に話しかけてきたじゃない。薔薇園がどうのこうのって」
しばしの沈黙。
まさか覚えてない?と若干不安に思っていると、少女はあぁ、と呟いた。
「薔薇園、なくならないの?」
「え?あぁ…何か校長から直々に白紙要請があったから、多分取り壊されないよ」
まだ正式に決まってないけど。
少女はそう、と花のように顔をほころばせた。
不覚にもドキッとしてしまう。
だって、てっきり表情の乏しい子だと思ってた。