私立白百合女学園~少女たちの秘密の園~
しかし、次の瞬間には彼女の顔から笑顔は消えていた。
手元の洋書を読みながら、私の方を見向きもしない。
──ピキ
いけない、こめかみに青筋が…。
この子、頼み事をしといて礼も無いわけ?!(私は何もしていないけど。)
ゴホン、咳払いをして気を取り直す。
早いとこ離れたいところだけど、紗椰子先輩との約束の為にも色々聞き出さなきゃ。
「ね、貴女、どうして薔薇園にこだわるの?というか、薔薇園ってなに?」
机に両手をつき、仁王立ちになる。
逃がさないよ?
「みんな薔薇園なんて聞いたことないらしいんだ。生徒会として、知っておきたいし」
「………」
「あのね。聞いてる?」
とうとう痺れを切らして怒鳴りつこうとした時。
「あの薔薇園は、行ける人と行けない人がいるの」
「……へ…?」
少女はあどけない表情で、真っ直ぐ私を見た。